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ハーモニーの歴史1 [連載読み物]

今回から新連載、新企画で音楽の読み物です。作曲や演奏でなかなか悩ましいハーモニーですが、歴史を知ることで理解も深まるかもしれません。難しい解説書と違って簡単に書いてみます。では、第1回のスタートです。
 
第1回: コードとハーモニー、似て非なるもの
 
01_Symphony No.9 in D Minor
ベートーベン交響曲第9番の有名なメロディー
(弦楽器による最初の提示部)
コードにすると3小節続けてAと単調ですが、
実際のハーモニーはとても複雑で美しいです。
 
ハーモニーの歴史は、比較的最近から始まります。音楽の三要素の内、メロディーとリズムは、人類の誕生とともに最初からあったはず。物を叩く音がリズムとなり、人間が言葉を話す以前から叫びや泣き声に感情の抑揚が加わってメロディーとなり、音楽は自然と発生したと思われます。それに引き替えハーモニーは、大変後になって生まれました。大体、ルネッサンス時代以降です。そして、体系的なハーモニーを作ったのは、後にも先にもヨーロッパ音楽だけ。残りの世界では、職人的な世襲制度のもとにハーモニー的なものが受け継がれてきましたが、結局、体系的にまとまらず、即興演奏の域を出るものではありませんでした。現在、ヨーロッパの音楽が世界を制覇しているのは、このハーモニーの力と言っても過言でないでしょう。

ヨーロッパで体系的なハーモニーが生まれたのは、本来感情に支配されている複雑な音楽の各要素を「数学的」に割り切ってしまったことが勝因でしょう。この点は、メロディーを響きの悪い平均律に、リズムを単調な一定のテンポと拍子に割り切ってしまったのと同じ考えです。つまり、ヨーロッパでは、音楽の多くの感情的な要素を切り捨てて理論を持ち込んだために、より複雑なものを創造する事ができて大きく発展したと言えるでしょう。この過程を踏んでハーモニーをより「数学的」に表現するのようになったのがコードと言えます。余談ですが、栄華を極めたヨーロッパ音楽(=クラシック)は、ドビッシーによりハーモニーを、シューンベルグによりメロディー(音階)を、ストラビンスキーによりリズムを破壊されて終焉を迎えます。我々が聞いている多くの音楽は、その「終った音楽」のコピーでしかないかもしれません。

話を戻して、コードと言うのはメロディーを無視して、ある一瞬の和音構成を定型化したものです。これ自体は、音楽的ではなくて、数学の数式みたいなもの。本来は、和音を構成する各声部のメロディーが重なり合って生まれるハーモニーこそが重要です。そこには、各部のメロディーの流れや、楽器(あるいは声)などの音質の対比、演奏上の表現、楽器の数など多くの要素が絡んできます。楽譜(スコア)を重んじるクラシックでは、これらの各要素を見渡す事が容易ですが、(楽譜の苦手な)ポップス、ロック系のアレンジでは、ギターで「ポロン」と弾いても、オーケストラがフルパートで演奏しても、同じ「コード」として考えてしまいがち。これがコードを考える上で、最初の大きな間違いであると言えます。つまり、コードというのは、本来のメロディーから時間の流れを無視して、あくまで便宜的に音の重なりを表現しただけであって、すべてを表している訳ではないことを最初に、頭に入れておかなければならないのです。

結局、メロディーの重なり合いが最初にあって、コードそのものは、それを分析するために後から考えられた便宜的なものです。さて、難しい話はこれぐらいにして、次回から歴史の話に行きましょう。
 
 

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